大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和48年(行ウ)33号 判決

神戸市兵庫区大開通八丁目二番地の一

原告

山田昭

右訴訟代理人弁護士

井上逸子

右同

持田穣

右同

米田軍平

神戸市兵庫区水木通二丁目五番地

被告

兵庫税務署長

勝又庄市

右指定代理人

岡崎真喜次

右指定代理人

佐々木達夫

右同

石田赳

右同

清家順一

右同

住永満

右同

瀬戸章平

右同

石川智

主文

原告の各請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

(双方の申立て)

一  原告

1  被告が原告に対し、昭和四四年一一月二一日付でした原告の昭和四二年度分所得税について、その所得金額を金三三八万二、〇五一円(裁決により一部取り消された後の額)とし、その税額を金七二万〇、六〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正決定のうち右所得金額一九四万三、七〇七円を超える部分および過少申告加算税金二万三、五〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)の賦課決定をいずれも取り消す。

2  被告が原告に対し、前同日付でした原告の昭和四三年度分所得税について、その所得金額を金三〇四万一、八六一円(裁決により一部取り消された後の額)とし、その税額を金五八万三、〇〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正決定のうち右所得金額金二一六万四、八〇〇円を超える部分および過少申告加算税金一万四、四〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)の賦課決定をいずれも取り消す。

3  被告が原告に対し、昭和四六年一月三一日付でした原告の昭和四四年度分所得税について、その所得金額を三一四万六、五一四円(裁決により一部取り消された後の額)とし、その税額を金五〇万二、三〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正決定のうち右所得金額金二三六万四、二一二円を超える部分および過少申告加算税金一万一、七〇〇円(裁決により一部取り消された後の額)の賦課決定をいずれも取り消す。

4  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

主文同旨。

(請求の原因)

原告は、歯科用品の販売業を営む者であるが、被告に対し、昭和四二年度分の所得税について、その所得金額を金一九四万三、七〇七円とし、その税額を金二四万九、九〇〇円として確定申告をし、昭和四三年度分の所得税について、その所得金額を金二一六万四、八〇〇円とし、その税額を金二九万三、一〇〇円として確定申告をし、昭和四四年度分の所得税について、その所得金額を金二三六万四、二一二円とし、その税額を金二六万六、四〇〇円として確定申告をしたところ、被告は、昭和四四年一一月二一日付をもって、昭和四二年度分の所得税について、その所得金額を金三七二万九、一〇八円とし、その税額を金八五万八、四〇〇円として更正処分および過少申告加算税金三万〇、四〇〇円の賦課決定をし、前同日付をもって、昭和四三年度分の所得税について、その所得金額を金四五万四、二九二円とし、その税額を金一一七万四、七〇〇円として更正処分および過少申告加算税金四万四、〇〇〇円の賦課決定をし、昭和四六年一月三一日付をもって、昭和四四年度分の所得税について、その所得金額を金五三八万七、〇八三円とし、その税額を金一三八万一、七〇〇円として更正処分および過少申告加算税金五万五、七〇〇円の賦課決定をしたので、原告は被告に対し、昭和四二年度分および昭和四三年度分所得税について、昭和四四年一二月一三日、昭和四四年度分所得税について、昭和四六年三月二〇日、それぞれ異議申立てをした。ところが被告は、昭和四二年度分および昭和四三年度分所得税については、昭和四五年六月二九日付でそれぞれ右各更正処分の一部取消しをし、昭和四二年度分所得税については、その所得金額を金三四一万九、七五七円、その税額を金七三万四、四〇〇円、過少申告加算税額を金二万四、二〇〇円と決定し、昭和四三年度分所得税については、その所得金額を金三六〇万三、六七五円、その税額を金七八万八、二〇〇円、過少申告加算税額を金二万四、七〇〇円と決定し、昭和四四年度分所得税については、昭和四六年六月一六日付で異議申立て棄却の決定をした。そこで原告は大阪国税不服審判所長に対し、昭和四二年度分および昭和四三年度分所得税については昭和四五年七月二八日、昭和四四年度分所得税については昭和四六年六月三〇日、それぞれ審査申立てをしたところ、同審判所長は、昭和四二年度分、昭和四三年度分および昭和四四年度分所得税について、昭和四八年七月一六日付で前記各更正処分の一部取消しをし、昭和四二年度分所得税については、その所得金額を金三三八万二、〇五一円とし、その税額を金七二万〇、六〇〇円とし、過少申告加算税額を金二万三、五〇〇円とする裁決をし、昭和四三年度分所得税については、その所得金額を金三〇四万一、八六一円とし、その税額を金五八万三、〇〇〇円とし、過少申告加算額を金一万四、四〇〇円とする裁決をし、昭和四四年度分所得税については、その所得金額を金三一四万六、五一四円とし、その税額を金五〇万二、三〇〇円とし、過少申告加算税額を金一万一、七〇〇円とする裁決をし、同月一九日、右各裁決は原告に通知された。

しかしながら、被告が昭和四四年一一月二一日付でした原告の昭和四二年度分の所得金額を金三三八万二、〇五一円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正処分、原告の昭和四三年度分の所得金額を金三〇四万一、八六一円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正処分および昭和四六年一月三一日付でした原告の昭和四四年度分の所得金額を金三一四万六、五一四円(裁決により一部取り消された後の額)とした更正処分は、原告の昭和四二年度分における所得金額が金一九四万三、七〇七円、昭和四三年度分の所得金額が金二一六万四、八〇〇円、昭和四四年度分の所得金額が金二三六万四、二一二円であるから、右各年度における各更正処分のうち原告の主張する右各年度における所得金額を超える部分は、いずれも違法として取り消されるべきであり、右各年度における過少申告加算税の賦課決定も、また、いずれも違法として取り消されるべきである。

(被告の答弁および主張)

請求原因事実中前段の事実は認めるが、後段の事実は争う。被告のした各更正処分および各過少申告加算の賦課決定には何らの取り消すべき瑕疵はなく、いずれも適法である。

一  昭和四二年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

原告の昭和四二年度における営業所得は金三二一万七、二五一円である。

1 売上金額(二、八三三万一、六四八円)

原告は青色申告書により確定申告をしていた者であるところ、原告の昭和四二年度分売上金額については、原告が審査請求において提出した日計表、伝票等により申し立てた額(以下「原告申立額」という)および青色申告書に添付されていた貸借対照表の額(以下「原告の決算額」という)により、次のとおり算出したものである。

イ 昭和四二年の売掛入金総額 金二、四三九万一、一八六円(原告申立額)

ロ 昭和四二年の現金売上額 金二三一万七、二二五円(原告申立額)

ハ 昭和四二年一月一日(期首)現在売掛金残高

金九一万二、六六八円(原告の決算額)

ニ 昭和四二年一二月三一日(期末)現在売掛金残高

金二五三万五、九〇五円(原告の決算額)

ホ 昭和四二年度分の売上金額 金二、八三三万一、六四八円(イ+ロ+ニ-ハ)

2 売上原価(金二、〇九九万六、七二四円)

イ 期首たな卸高 金一五一万七、二七〇円(原告申立額)

ロ 仕入金額 金二、〇八〇万六、二九四円

原告申立額(審査請求における原告の主張額)は金二、〇八一万五、七九七円であるが、本件審査請求のとき、原告が提示した日計表を担当審査官が検討し集計した結果、計算誤りがあった(差額金九、五〇三円)ため、訂正したものである。

ハ 小計 金二、二三二万三、五六四円(イ+ロ)

ニ 期末たな卸高 金一三二万六、八四〇円(原告申立額)

ホ 差引原価額 金二、〇九九万六、七二四円(ハ-ニ)

3 差益金額(金七三三万四、九二四円)

売上金額(金二、八三三万一、六四八円)から売上原価額(二、〇九九万六、七二四円)を控除した金額である(1-2)。

4 一般経費(金一一八万八、〇二九円)

イ 公租公課 金二〇万六、七一〇円

原告申立額は金二一万一、六六〇円であるが、このうち固定資産税金四、九五〇円については、原告の事業の用に供されていない原告所有の西宮市津門仁辺町四五番地の土地(なんら使用されていない空地である。以下単に「西宮の土地」という)の固定資産税であるので、事業上必要経費に該当しないから否認した。

ロ 水道光熱費 金二万〇、〇七〇円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金一四万〇、一〇六円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金一七万九、五九九円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金一二万五、五九〇円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金一万〇、〇六三円(原告申立額)

ト 修繕費 金四万九、三二四円(原告申立額)

チ 消耗品費 金二二万五、二二〇円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金一三万一、八四〇円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金九万九、五〇七円(原告申立額)

5 差引金額(金六一四万六、八九五円)

差益金額(金七三三万四、九二四円)から一般経費(金一一八万八、〇二九円)を控除した金額である(3-4)。

6 雑収入(金七八万一、四三〇円)

原告の雑収入は、取引先からのリベート等の収入であり、原告申立額は金七五万八、二二八円であるが、それ以外に妻名義の普通預金口座に小切手で入金されている金二万三、二〇二円についても、営業上の雑収入の計上もれと認められるので、これを加算した。

7 雑収入を加えた金額(金六九二万八、三二五円)

差引金額(金六一四万六、八九五円)に雑収入(金七八万一、四三〇円)を加えた金額である(5+6)。

8 特別経費計(金三四七万一、〇七四円)

イ 雇人費 金三四六万三、九七〇円(原告申立額)

ロ 地代家賃 金七、一〇四円(原告申立額)

9 青色専従者給与額(金二四万円)

10 営業所得金額(金三二一万七、二五一円)

雑収入を加えた金額(金六九二万八、三二五円)から特別経費計(金三四七万一、〇七四円)と青色専従者給与額(金二四万円)を控除した金額である(7-8-9)。

(二)  配当所得について

原告の昭和四二年度における配当所得は金一六万四、八〇〇円である(原告申告額)。

以上のとおり、営業所得(金三二一万七、二五一円)、配当所得(金一六万四、八〇〇円)合計金三三万二、〇五一円が原告の昭和四二年度における所得金額であって、被告がした更正処分額金三三八万二、〇五一円(裁決により一部取り消されたた後の額)と同額であるから、被告のした更正処分および過少申告加算税の賦課決定には何らの違法、不当の点はないのである。

二  昭和四三年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

原告の昭和四三年度における営業所得は金三三九万四、八六一円である。

1 売上金額(金四、一九三万〇、三四四円)

被告署長の担当職員が、原告の昭和四三年度分および昭和四四年度分の所得について調査したところ、原告は右各年度分の帳簿書類を破棄した旨申し立てて帳簿書類を提示せず、また、右各年度分の確定申告の内容についての説明要求にも応じなかった。そこで被告は昭和四四年七月二四日付で所得税法一五〇条一項一号該当を理由に原告の昭和四三年度分以降の青色申告の承認を取り消し、そのうえで昭和四二年度分の差益率、経費率を使用して推計により昭和四三年度分および昭和四四年度の所得金額を算出して、それぞれ各更正処分を行なったものである。そして、右青色申告承認取消処分は原告がなんらの不服申立てをしなかったため、確定している。ところが、原告は、昭和四三年度分および昭和四四年度分の各更正処分に対する審査請求において、はじめて右各年度分の帳簿類を提出したが、これらの帳簿書類のうち売上金額に関する記載内容に信憑性が欠けるため、これらの帳簿書類に基づいて原告の売上金額を計算することができないのである。そこで被告は、原告の業態に特段の変化がないので、昭和四二年度分の差益率によって、昭和四四年度分の売上金額について、後記のとおり推計するほか、昭和四三年度分の売上金額について、次のとおり推計するものである。

イ 昭和四三年度分売上原価額 金三、一〇七万四、五七八円(原告申立額)

ロ 差益率 二五・八九%(昭和四二年度分差益金額÷昭和四二年度分売上金額)

ハ 昭和四三年度分売上金額 金四、一九三万〇、三四四円〔イ÷(一〇〇-二五・八九%)〕

2 売上原価額(金三、一〇七万四、五七八円)

原告申立額によるものである。すなわち、

イ 期首たな卸高 金一三二万六、八四〇円(原告申立額)

ロ 仕入金額 金三、一七六万九、〇三八円(原告申立額)

ハ 小計 金三、〇九五万八七八円(イ+ロ)

ニ 期末たな卸高 金二〇二万一、三〇〇円(原告申立額)

ホ 差引原価額 金三、一〇七万四、五七八円(ハ-ニ)

3 差益金額(金一、〇八五万五、七六六円)

売上金額(金四、一九三万〇、三四四円)から売上原価額(金三、一〇七万四、五七八円)を控除した金額である。(1-2)。

4 一般経費計(金一二七万三、九六四円)

イ 公租公課 金二九万五、五二〇円

原告申立額金三七万二、九三〇円のうち前記の原告の事業の用に供されていない西宮の土地にかかる固定資産税金四、九五〇円および原告の所得税金七万二、四六〇円は、事業上必要経費に該当しないもので、否認したものである。

ロ 水道光熱費 金四万〇、四九二円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金二〇万九、〇二九円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金八万二、二五〇円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金一六万九、一〇七円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金六、五五四円(原告申立額)

ト 修繕費 金一〇万五、九一〇(原告申立額)

チ 消耗品費 金一八万六、一一四円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金三万五、六三〇円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金一四万三、三五八円

5 差引金額(金九五八万一、八〇二円)

差益金額(金一、〇八五万五、七六六円)から一般経費計(金一二七万三、九六四円)を控除した金額(3-4)。

6 雑収入(金二一万三、八一〇円)

原告の雑収入は、取引先からリベート等の収入であるがその内容は、株式会社森田歯科商店からの分金八万〇、七九〇円、而至化学工業株式会社からの分金一〇万一、四四二円、松風陶歯製造株式会社からの分金三万一、五七八円合計金二一万三、八一〇円である。

7 雑収入を加えた金額(金九七万五、六一二円)差引金額(金九五八万一、八〇二円)に雑収入(金二一万三、八一〇円)を加えた金額(5+6)。

8 特別経費計 (金六二五万〇、七五一円)

イ 雇人費 金六〇二万八、一〇〇円(原告申立額)

ロ 減価償却費(建物) 金二万七、五四〇円

ハ 地代家賃 金九万五、三二八円(原告申立額)

ニ 支払利子割引料 金三万六、七五八円

原告申立額三万八、三七五円のうちには、前記の原告の事業の用に供していない西宮の土地の取得のための借入金に対する支払利子金一、六一七円が含まれているが、これは事業上必要経費に該当しないので、否認したものである。

ホ 支払リベート 金二万六、六六〇円(原告申立額)

ヘ 雑損 金三万六、三六五円

9 事業専従者控除額 (金一五万円)

10 営業所得金額 (金三三九万四、八六一円)

雑収入を加えた金額(金九七九万五、六一二円)から特別経費計(金六二五万〇、七五一円)と事業専従者控除額(金一五万円)を控除した金額である(7-8-9)。

(二)  配当所得について

原告の昭和四三年度における配当所得は金一六万四、八〇〇円である(原告申立額)。

以上のとおり、営業所得(金三三九万四、八六一円)、配当所得(金一六万四、八〇〇円)合計金三五五万九、六六一円が原告の昭和四三年度における所得金額であって、被告がした更正処分額金三〇四万一、八六一円(裁決により一部取り消された後の額)を上回るのであるから、被告のした更正処分および過少申告加算税の賦課決定には何らの違法、不当の点はないのである。

三  昭和四四年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

原告の昭和四四年度における営業所得は金三一六万七、二二八円である。

1 売上金額 (金四、六八六万四、三三一円)

原告の昭和四四年度分における売上金額についても、原告の昭和四三年度における売上金額を算出するについて既に述べたと同一の理由により、推計する必要がある。そこで被告は、原告の業態に特段の変化がないので、昭和四二年度分の差益率によって、昭和四四年度分の売上金額について、次のとおり推計するものである。

イ 昭和四四年度分売上原価額 金三、四七三万一、一五六円(原告申立額)

ロ 差益率 二五・八九%(昭和四二年度分差益金額÷昭和四二年度分売上金額)

ハ 昭和四四年度分売上金額 金四、六八六万四、三三一円〔イ÷(一〇〇-二五・八九%)〕

2 売上原価額 (金三、四七三万一、一五六円)

原告申立額によるものである。すなわち、

イ 期首たな卸高 金二〇二万一、三〇〇円(原告申立額)

ロ 仕入金額 金三、五八〇万八、一二六円(原告申立額)

ハ 小計 金三、七八二万九、四二六円(イ+ロ)

ニ 期末たな卸高 金三〇九万八、二七〇円(原告申立額)

ホ 差引原価額 金三、四七三万一、一五六円(ハ-ニ)

3 差益金額 (金一、二一三万三、一七五円)

売上金額(金四、六八六万四、三三一円)から売上原価額(金三、四七三万一、一五六円)を控除した金額である(1-2)。

4 一般経費計(金二一九万六、八七四円)

イ 公租公課 金四二万二、三九五円

原告申立額金四三万一、六七五円のうち、前記の西宮の土地にかかる固定資産税金九、二八〇円は事業上必要経費に該当しないので、否認したものである。

ロ 水道光熱費 金四万八、二一五円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金一七万六、二二五円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金一九万五、三〇〇円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金二三万九、一四八円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金七万三、五一四円(原告申立額)

ト 修繕費 金二五万五、一〇一円(原告申立額)

チ 消耗品費 金三八万三、二三六円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金一六万五、四九一円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金二三万八、二四九円

5 差引金額(金九九三万六、三〇一円)

差益金額(金一、二一三万三、一七五円)から一般経費計(金二一九万六、八七四円)を控除した金額である(3-4)。

6 雑収入 (金一五九万七、三三〇円)(原告申立額)

7 雑収入を加えた金額(金一、一五三万三、六三一円)

差引金額(九九三万六、三〇一円)に雑収入(金一五九万七、三三〇円)を加えた金額である(5+6)。

8 特別経費計(金八三六万六、四〇三円)

イ 雇人費 金八一四万〇、三三五円(原告申立額)

ロ 減価償却費(建物) 金二万七、五四〇円

ハ 地代家賃 金一〇万六、六五〇円(原告申立額)

ニ 支払利子割引料 金七万七、三七八円(原告申立額)

ホ 支払リベート 金一万四、五〇〇円(原告申立額)

9 営業所得金額(金三一六万七、二二八円)

雑収入を加えた金額(金一、一五三万三、六三一円)から特別経費計(金八三六万六、四〇三円)を控除した金額である(7-8)。

(二)  配当所得について

原告の昭和四四年度における配当所得は金二四万七、二〇〇円である(原告申立額)。

(三)  不動産所得について

原告の昭和四四年度における不動産所得金は六、二〇〇円である(原告申立額)。

以上のとおり、営業所得(金三一六万七、二二八円)、配当所得(金二四万七、二〇〇円)、不動産所得(金六、二〇〇円)合計金三四二万〇、六二八円が原告の昭和四四年度における所得金額であって、被告がした更正処分額金三一四万六、五一四円(裁決により一部取り消された後の額)を上回るのであるから、被告のした更正処分および過少申告加算税の賦課決定には何らの違法、不当の点はないのである。

(原告の答弁および主張)

一  昭和四二年度における所得金額

(一)  営業所得について

原告の昭和四二年度における営業所得が金三二一万七、二五一円であるとする被告の主張額を争う。

1 売上金額

原告の昭和四二年度における売上金額が金二、八三三万一、七四八円であるとする被告の主張額を争う。

2 売上原価

イ 期首たな卸高 金一五一万七、二七〇円(原告申立額)被告の主張額を認める。

ロ 仕入金額

被告の主張額金二、〇八〇万六、二九四円を争う。

ハ 小計

被告の主張額を争う。

ニ 期末たな卸高 金一三二万六、八四〇円(原告申立額)被告の主張額を認める。

ホ 差引原価額

被告の主張額を争う。

3 差益金額

被告の主張額を争う。

4 一般経費

被告の主張額を争う。

イ 公租公課

被告は、原告申立額金二一万一、六六〇円のうち西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円については、事業上必要経費に該当しないと主張するが、西宮の土地は、原告の事業遂行に欠くことのできない事務所建設予定地として購入し、ただ資金ぐりの関係で建設を一時中止していたにすぎないから、西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円は経費として計上すべきである。

ロ 水道光熱費 金二万〇、〇七〇円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金一四万〇、一〇六円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金一七万九、五九九円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金一二万五、五九〇円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金一万〇、〇六三円(原告申立額)

ト 修繕費 金四万九、三二四円(原告申立額)

チ 消耗品費 金二二万五、二二〇円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金一三万一、八四〇円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金九万九、五〇七円(原告申立額)

以上ロないしヌの被告の各主張額はすべて認める。

5 差引金額

6 被告の主張額を争う。

6 雑収入

被告の主張額を争う。

7 雑収入を加えた金額

被告の主張額を争う。

8 特別経費計(金三四七万一、〇七四円)

被告の主張額(その内容を含む)を認める。

9 青色専従者給与額(二四万円)

被告の主張額を認める。

10 営業所得金額

被告の主張額を争う。

(二)  配当所得について

原告の昭和四二年度における配当所得が金一六万四、八〇〇円であるとする被告の主張額は認める。

二  昭和四三年度における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

原告の昭和四三年度における営業所得が金三三九万四、八六一円であるとすと被告の主張額を争う。

1 売上金額

原告の昭和四三年度における売上金額が金四、一九三万〇、三四四円であるとする被告の主張額は争う。もっとも、被告が原告の昭和四三年度における売上金額を算出するために採用した推計方法は争わない。

2 売上原価額(金三、一〇七万四、五七八円)

被告の主張額(その内容を含む)をすべて認める。

3 差益金額

被告の主張額を争う。

4 一般経費計

被告の主張額を争う。

イ 公租公課

被告は、原告の申立額金三七万二、九三〇円のうち西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円および原告の所得税金七万二、四六〇円は、事業上必要経費に該当しないと主張するが、西宮の土地は、既述のとおり、原告の事業遂行のために欠くことのできない事務所建設予定地として購入し、ただ資金ぐりの関係で建設を一時中止しているにすぎないから、西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円は経費として計上すべきである。

ロ 水道光熱費 金四万〇、四九二円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金二〇万九、〇二九円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金八万二、二五〇円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金一六万九、一〇七円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金六、五五四円(原告申立額)

ト 修繕費 金一〇万五、九一〇円(原告申立額)

チ 消耗品費 金一八万六、一一四円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金三万五、六三〇円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金一四万三、三五八円

以上ロないしヌの被告の各主張額はすべて認める。

5 差引金額

被告の主張額を争う。

6 雑収入

原告が株式会社森田歯科商店から金八万〇、七九〇円の雑収入を得たことは認めるが、その余の被告の主張額は争う。

7 雑収入を加えた金額

被告の主張額を争う。

8 特別経費計

被告の主張額を争う。

イ 雇人費 金二万八、一〇〇円(原告申立額)

被告の主張額を認める。

ロ 減価償却費(建物) 金二万七、五四〇円

被告の主張額を認める。

ハ 地代家賃 金九万五、三二八円(原告申立額)

被告の主張額を認める。

ニ 支払利子割引料

被告は、原告申立額金三万八、三七五円のうちには、前記の西宮の土地の取得のため借入金に対する支払利子金一、六一七円が含まれているとして、これを事業上必要経費に該当しないものとして否認するが、既述のとおり、西宮の土地は、原告の事業遂行のために欠くことのできない事務所建設予定地として購入したものであるから、そのための借入金に対する支払利子金一、六一七円は、事実上必要経費として計上すべきである。

ホ 支払リベート 金二万六、六六〇円(原告申立額)

被告の主張額を認める。

ヘ 雑損 金三万六、三六五円

被告の主張額を認める。

9 事業専従者控除額(金一五万円)

被告の主張額を認める。

10 営業所得金額

被告の主張額を争う。

(二)  配当所得について

原告の昭和四三年度における配当所得が金一六万四、八〇〇円であるとする被告の主張額は認める。

三  昭和四四年度における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

原告の昭和四四年度における営業所得が金三一六万七、二二八円であるとする被告の主張額を争う。

1 売上金額

原告の昭和四四年度における売上金額が金四、六八六万四、三三一円であるとする被告の主張額は争う。もっとも、被告が原告の昭和四四年度における売上金額を算出するために採用した推計方法は争わない。

2 売上原価額(金三、四七三万一、一五六円)

被告の主張額(その内容を含む)をすべて認める。

3 差益金額

被告の主張額を争う。

4 一般経費計

被告の主張額を争う。

イ 公租公課

被告は、原告申立額金四三万一、六七五円のうち西宮の土地に対する固定資産税金九、二八〇円は、原告の事業上必要経費に該当しないと主張するが、西宮の土地は、既述のとおり、原告の事業遂行のために欠くことができない事務所建設予定地として購入し、ただ資金ぐりの関係で建設を一時中止しているにすぎないから、西宮の土地に対する固定資産税金九、二八〇円は経費として計上すべきである。

ロ 水道光熱費 金四万八、二一五円(原告申立額)

ハ 旅費通信費 金一七万六、二二五円(原告申立額)

ニ 広告宣伝費 金一九万五、三〇〇円(原告申立額)

ホ 接待交際費 金二三万九、一四八円(原告申立額)

ヘ 火災保険料 金七万三、五一四円(原告申立額)

ト 修繕費 金二五万五、一〇一円(原告申立額)

チ 消耗品費 金三八万三、二三六円(原告申立額)

リ 福利厚生費 金一六万五、四九一円(原告申立額)

ヌ 減価償却費(建物以外) 金二三万八、二四九円

以上ロないしヌの被告の各主張額はすべて認める。

5 差引金額

被告の主張額を争う。

6 雑収入(金一五九万七、三三〇円)(原告申立額)

被告の主張額を認める。

7 雑収入を加えた金額

被告の主張額を争う。

8 特別経費計(金八三六万六、四〇三円)

被告の主張額(その内容を含む)を認める。

9 営業所得金額

被告の主張額を争う。

(二)  配当所得について

原告の昭和四四年度における配当所得が金二四万七、二〇〇円であるとする被告の主張額は認める。。

(三)  不動産所得について

原告の昭和四四年度における不動産所得が金六、二〇〇円である被告の主張額は認める。

(証拠)

一  原告

1  甲第一号証、第二号証の一ないし二二、第三号証、第四号証の一ないし三を提出。

2  証人福井正一の証言を援用。

3  乙第二号証、第八号証の一、二、第九号証、第一〇号証の一、二、第一一号証の各成立は不知。その余の各乙号証の成立はすべて認める。

二  被告

1  乙第一号証、第二号証、第三号証の一、二、第四号証の一ないし一四、第五号証の一ないし五、第六号証の一ないし三、第七号証の一、二、第八号証の一ないし四、第九号証、第一〇号証の一、二、第一一号証、第一二号証、第一三号証の一、二、第一四号証を提出。

2  証人下方知己の証言を援用

3  甲第一号証の成立を認める。その余の各甲号証の成立はすべて不知。

理由

請求原因事実中、前段の事実は当事者間に争いがない。よって、以下被告の主張の当否について検討する。

一  昭和四二年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

1  売上金額(金二、八三三万一、六四八円)

成立に争いのない乙第一号証、第四号証の一ないし一四、第一二号証、第一三号証の一、二、証人下方知己の証言により真正に成立したと認める乙第二号証、証人下方知己の証言によれば、原告は青色申告書により確定申告をしていたものであるが、原告の昭和四二年度分の売上金額を把握する帳簿書類としては、売上原簿があり、その記帳を裏付ける原始記録としては日計報告書、入出金伝票があったこと、原告の昭和四二年度分所得税についての審査請求事件を担当した大阪国税不服審判所の副審判官下方知己が、原告に帳簿書類等の提出を求めたところ、原告は、日計報告書(乙第一二号証)を毎日作成しており、これに基づいて作成したものであるとして、入出金集計表(乙一三号証の一、二)を提出したので、原告から、さらに日計報告書綴、入出金伝票綴の提出を求めて、詳細に集計、検討を加えたこと、ところが入出金集計表の集計額と日計報告書綴、入出金伝票綴の各集計額との間にそれぞれ誤差があり、前記副審判官が原告にその説明を求めたけれども、原告からは、単に日計報告書が正確であるというのみで、明確な回答が得られなかったこと、日計報告書は毎日の入出金の集計額を各科目毎に区別して作成するものであり、入出金伝票は入出金の都度作成するものであるが、日計報告書綴には重複、脱漏がないのに対し、入出金伝票綴には一連番号が付されておらず、重複、脱漏のおそれがあるところから、原告から日計報告書が正確であるとの説明もあり、原始記録としては、入出金伝票綴よりも日計報告書綴が正確であると考えられたこと、そこで原告が提出した日計報告書綴によって、昭和四二年の売掛入金総額を集計すると金二、四三九万一、一八六円となり、同年の現金売上額を集計すると、金二三一万七、二二五円となったこと、原告が作成提出した昭和四二年分青色申告決算書(乙第一号証)によると、昭和四二年一月一日(期首)現在売掛金残高は金九一万二、六六八円であり、同年一二月三一日(期末)現在売掛金残高は金二五三万五、九〇五円であること、以上のとおり認められる。もっとも証人福井正一の証言によれば、日計報告書は売上原簿と入出金伝票から転記したものであり、しかも必ずしも毎日作成したものではないから、日計報告書よりも売上原簿、入出金伝票が正確であるというのであるが、右証言を前記のような原告の副審判官下方知己に対する説明や回答に対比するときは、同証言のみによって、日計報告書綴が売上原簿や人出金伝票綴に比して不正確であるとは、にわかに断定できないし、また、甲第二号証の一ないし二二は、同証言によれば、昭和五〇年ごろ原告の昭和四二年度分の売上金額を売上原簿から集計したものであり、甲第四号の一ないし三は、同証言によれば、昭和五〇年九月二〇日原告の昭和四二年の売掛入金総額と現金売上額を入金伝票綴から集計したものであるというのであるが、甲第二号証の一ないし二二の集計額と原告が作成提出した昭和四二年度分青色申告決算書(乙第一号証)における売上金額との間、甲第四号証の一の集計額と前記副審判官が原告の提出した入金伝票綴に基づいて集計した売掛入金総額(乙第二号証)との間にはそれぞれ誤差があって、同証言によっても、いずれが正確であるか分明でないというのであるから、同証言および右各甲号証を採用して、前記認定を覆えすことはできない。そうすると、他に反証がないかぎり、原告の昭和四二年度分の売上金額は左記のとおり金二、八三三万一、六四六となることは計数上明らかである。

イ 昭和四二年の売掛入金総額 金二、四三九万一、一八六円

ロ 昭和四二年の現金売上額 金二三一万七、二二五円

ハ 昭和四二年一月一日(期首)現在売掛金残高 金九一万二、六六八円

ニ 昭和四二年一二月三一日(期末)現在売掛金残高 金二五三万五、九〇五円

ホ 昭和四二年度分の売上金額 金二、八三三万一、六四八円(イ+ロ+ニ-ハ)

2  売上原価(金二、〇九九万六、七二四円)

イ 期首たな卸高 金一五一万七、二七〇円

原告の昭和四二年度における期首たな卸高が金一五一万七、二七〇円であることは当事者間に争いがない。

ロ 仕人金額 金二、〇八〇万六、二九四円

前記乙第一号証によれば、原告が被告署長宛に提出した昭和四二年分青色決算書には、同年度の仕入金額が金二、〇八一万五、七九七円と計上されていることが認められるが、前記乙第二号証、第四号証の一ないし一四、証人下方知己の証言によれば、本件審査請求のときに、原告が日計報告書綴に基づいて作成したとして提出した入出金集計表と日計報告書綴とを、副審判下方知己において集計、検討したところ、原告の昭和四二年度における買掛金と現金仕入高の合計額について、金九、五〇三円の誤差があることが認められたので〔(2794,970円+395,249円)-(2,976,700円+204,016円)=9,503〕原告の昭和四二年度における仕入金額について、他に特段の主張立証のない本件においては、原告の申立額金二、〇八一万五、七九七円から右差額金九、五〇三円を控除した金二、〇八〇万六、二九四円をもって、原告の昭和四二年度における仕入金額と認めるのが相当である。

ハ 小計 金二、二三二万三、五六四円(イ+ロ)

ニ 期末たな卸高 金一三二万六、八四〇円

原告の昭和四二年度における期末たな卸高が金一三二万六、八四〇円であることは当事者間に争いがない。

ホ 差引原価額 金二、〇九九万六、七二四円(ハ-ニ)

3  差益金額 (金七三三万四、九二四円)

売上金額(金二、八三三万一、六四八円)から売上原価額(二、〇九九万六、七二四円)を控除した金額である。(1-2)。

4  一般経費 (金一一八万八、〇二九円)

イ 公租公課 金二〇万六、七一〇円

成立に争いのない甲第一号証、乙第三号証の一、二によれば、原告は、、本件審査請求において、原告の昭和四二年度における公租公課は金二一万一、六六〇円であると主張し、このうち金四、九五〇円は原告所有の西宮市津門仁辺町四五番地の土地(西宮の土地)に対する固定資産税であることが認められるが、成立に争いのない乙第五号証の一ないし四、第八号証の三、四(いずれも西宮の土地を撮影した写真)、証人下方知己の証言により真正に成立したものと認める乙第八号証の一、二、証人下方知己の証言によれば、原告所有の西宮の土地は、原告が昭和三八年取得してから前記副審判官下方知己が現地を調査した昭和四六年一〇月八日まで、原告の事業の用に何ら供されていないことが認められるから、西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円は必要経費として計上することは許されないというべきである。証人福井正一の証言中右認定に反する部分は採用できず、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。したがって、原告の昭和四二年度における必要経費として計上すべき公租公課は金二〇万六、七一〇円と認めるのが相当である。

ロ 水道光熱費 金二万〇、〇七〇円

ハ 旅費通信費 金一四万〇、一〇六円

ニ 広告宣伝費 金一七万九、五九九円

ホ 接待交際費 金一二万五、五九〇円

ヘ 火災保険料 金一万〇、〇六三円

ト 修繕費 金四万九、三二四円

チ 消耗品費 金二二万五、二二〇円

リ 福利厚生費 金一三万一、八四〇円

ヌ 減価償却費(建物以外) 金九万九、五〇七円

以上ロないしヌの各費目の各金額はいずれも当事者間に争いがない。

5  差引金額 (金六一四万六、八九五円)

差益金額(金七三三万四、九二四円)から一般経費(金一一八万八、〇二九円)を控除した金額である(3-4)。

6  雑収入 (金七八万一、四三〇円)

前記甲第一号証、乙第三号証の一、二、成立に争いのない乙第六号証の一ないし三によれば、原告は、本件審査請求において、原告の昭和四二年度における雑収入は金七五万八、二二八円であると主張し、右金額には、原告の妻山田喜子名義の神戸銀行上沢支店における普通預金口座に、昭和四二年一〇月一四金七、二〇二円、同月二三日六、〇〇〇円、同年一二月一五日金一万円合計二万三、二〇二円がいずれも小切手で入金されているとされている金額が含まれていないことが認められるところ、右各証拠と証人福井正一、同下方知己の各証言に弁論の全趣旨によれば、右普通預金口座における入金のほとんどは、原告の妻山田喜子が原告からその事業専従者給与として支給されたものであるが、原告の妻山田喜子には右給与以外には収入はなく、右普通預金口座に入金された合計金二万三、二〇二円の小切手三通について、税務職員から質問を受けたけれども、原告および原告の妻山田喜子は、原告の妻山田喜子の旅行積立金の払戻金であろうといってみたり、他から換金を依頼されて取得したものであろうかといってみたり、結局、その出所を明らかにすることができず、現在もその出所を明確にすることができないことが認められるから、他に反証のないかぎり、右金二万三、二〇二円は原告の事業の売上以外から得た収入、すなわち、雑収入と認めるのが相当である。そうすると、原告の主張額金七五万八、二二八円に右金二万三、二〇二を加えた合計金七七八万一、四三〇円が原告の昭和四二年度における雑収入と認めるべきである。

7  雑収入を加えた金額 (金六九二万八、三二五円)

差引金額(金六一四万六、八九五円)に雑収入(金七八万一、四三〇円)を加えた金額である(5+6)。

8  特別経費計 (金三四七万一、〇七四円)

イ 雇人費 金三四六万三、九七〇円

ロ 地代家賃 金七、一〇四円

右イ、ロの各費目の各金額(合計金三四七万一、〇七四円)はいずれも当事者間に争いがない。

9  青色専従者給与額 (金二四万円)

原告の昭和四二年度における青色専従者給与額が金二四万円であることは当事者間に争いがない。

10  営業所得金額 (金三二一万七、二五一円)

雑収入を加えた金額(金六九二万八、三二五円)から特別経費計(金三四七万一、〇七四円)と青色専従者給与額(金二四万円)を控除した金額である(7-8-9)。

(二)  配当所得について

原告の昭和四二年度における配当所得が金一六万四、八〇〇円であることは当事者間に争いがない。

以上認定のとおり、原告の昭和四二年度における所得金額は、営業所得(金三二一万七、二五一円)配当所得(金一六万四、八〇〇円)合計金三三八万二、〇五一円であるから、被告が原告の昭和四二年度における所得金額を金三三八万二、〇五一円(裁決により一部取り消された後の額)と認定した更正処分および過少申告加算税の賦課決定は、正当であって、違法不当のかどはないというべきである。

二  昭和四三年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

1  売上金額 (金四、一九三万〇、三四四円)

前記甲第一号証、証人福井正一、同下方知己の各証言によれば、被告署長の担当税務職員が、原告の昭和四三年度分および昭和四四年度分の所得税について、原告に対し質問、検査をしたところ、原告は右各年度における日計報告書を作成せず、帳簿書類の提出を拒み、また、右各年度における確定申告の内容についても説明要求に応じなかったので、被告は、昭和四四年七月二四日付で所得税法一五〇条一項一号該当を理由に、原告の昭和四三年度分以降の青色申告の承認を取り消したが、右青色申告承認取消処分については、原告が不服申立てをしなかったため、確定したこと、原告は、昭和四三年度分および昭和四四年度分の各更正処分に対する審査請求の段階において、はじめて右各年度分の帳簿書類を提出したが、これらの帳簿書類のうち売上金額に関する記載内容には信憑性が欠けるため、これらの帳簿書類に基づいては原告の右各年度における売上金額を計算することができなかったことが認められるから、被告が原告の昭和四三年度分および昭和四四年度分の売上金額を認定するについて、いわゆる推計方法(間接方法)を採用したことは正当であるというべきである。ところで被告は、昭和四三年度分および昭和四四年度分の原告の売上金額を推計するについて、昭和四二年度分における差益率と、当事者間に争いのない昭和四三年度分および昭和四四年度分における売上原価額とによって、後者の各年度分における売上金額を推計するのであって、原告も被告のかかる推計方法を争わないところであるが、昭和四二年度における差益率と昭和四三年度および昭和四四年度における差益率との間にめだつ程の相違を生ずべき特別の事由の存在が認められない以上、かかる推計方法も合理的なものとして是認すべきである(最高裁判所昭和四二年三月三〇日判決、税務訴訟資料四七号五五〇頁参照)もっとも、前記甲第一号証、証人福井正一の証言によれば、昭和四三年度および昭和四四年度においては差益率の低い貴金属類の売上、仕入が昭和四二度に比し増加していることが窺われるけれども、原告の右各年度にわたる業態には総体に格別の変動がなかったことが認められるのみならず、昭和四三年度および昭和四四年度の各売上原価額における貴金属類とそれ以外のものとの区別が何ら明らかにされていない本件においては、被告の採用した差益率に修正、変更を加える必要はないものと考える。そこで原告の昭和四三年度分の売上金額を推計すると、次のとおり金四、一九三万〇、三四四円となる。

イ 昭和四三年度分売上原価額金三、一〇七万四、五七八円(後記2のとおり当事者間に争いがない)

ロ 差益率二五・八九%(昭和四二年度分差益金額÷昭和四二年度分売上金額)

ハ 昭和四三年度分売上金額四、一九三万〇、三四四円〔イ÷(一〇〇-二五・八九%)〕

2  売上原価額 (金三、一〇七万四、五七八円)

原告の昭和四三年度における原価額が金三、一〇七万四、五七八円であること、およびその内容が被告主張のとおりであることはいずれも当事者間に争いがない。

3  差益金額 (金一、〇八五万五、七六六円)

売上金額(金四、一九三万〇、三四四円)から売上原価額(金三、一〇七万四、五七八円)を控除した金額である(1-2)。

4  一般経費計 (金一二七万三、九六四円)

イ 公租公課 金二九万五、五二〇円

前記甲第一号証、乙第三号証の一、二によれば、原告は、本件審査請求において、原告の昭和四三年度における公租公課は金三七万二、九三〇円であると主張し、このうち金四、九五〇円は原告所得の西宮の土地に対する固定資産税であり、このうち金七万二、四六〇円は原告の所得税であることが認められるが、前記一、(一)、4において説示したと同一の理由により、西宮の土地に対する固定資産税金四、九五〇円は必要経費として計上することは許されないし、また、原告の所得税金七万二、四六〇円は事業所得金額計算上必要経費とならないものである。したがって原原告の昭和四三年度における必要経費として計上すべき公租公課は金二九万五、五二〇円である。

ロ 水道光熱費 金四万〇、四九二円

ハ 旅費通信費 金二〇万九、〇二九円

ニ 広告宣伝費 金八万二、二五〇円

ホ 接待交際費 金一六万九、一〇七円

ヘ 火災保険料 金六、五五四円

ト 修繕費 金一〇万五、九一〇円

チ 消耗品費 金一八万六、一一四円

リ 福利厚生費 金三万五、六三〇円

ヌ 減価償却費(建物以外) 金一四万三、三五八円

以上ロないしヌの各費目の各金額はいずれも当事者間に争いがない。

5  差引金額(金九五万一、八〇二円)

差益金額(金一、〇八五万五、七六六円)から一般経費計(金一二七万三、九六四円)を控除しした金額である(3-4)。

6  雑収入(金二一万三、八一〇円)

原告が株式会社森田歯科商店から金八万〇、七九〇円の雑収入を得たことは当事者間に争いがなく弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める乙第一〇号証の一、二、第一一号証によれば原告が昭和四三年度において而至化学工業株式会社から金一〇万一、四四二円、松風陶歯製造株式会社から金三万一、五七八円の雑収入を得たことが認められるから、原告の昭和四三年度における雑収入は右合計金二一万三、八一〇円である。

7  雑収入を加えた金額(金九七九万五、六一二円)

差引金額(金九五八万一、八〇二円)に雑収入(金二一万三、八一〇円)を加えた金額である(5+6)。

8  特別経費計(金六二五万〇、七五一円)

イ 雇人費 金六〇二万八、一〇〇円

原告の昭和四三年度における特別経費としての雇人費が金六〇二万八、一〇〇円であることは当事者間に争いがない。

ロ 減価償却費(建物) 金二万七、五四〇円

原告の昭和四三年度における特別経費としての減価償却費(建物)が金二万七、五四〇円であることは当事者間に争いがない。

ハ 地代家賃 金九万五、三二八円

原告の昭和四三年度における特別経費としての地代家賃が金九万五、三二八円であることは当事者間に争いがない。

ニ 支払利子割引料 金三万六、七五八円

前記甲第一号証、乙第三号証の一、二によれば、原告は本件審査請求において、原告の昭和四三年度における支払利子割引料は金三万八、三七五円であると主張し、このうち金一、六一七円は原告が西宮の土地を購入するための借入金に対する支払利子であることが認められるが、前記一(一)、4において説示したと同一の理由により、西宮の土地は原告の事業に何ら供されていないのであるから、その購入借入金に対する支払利子金一、六一七円を特別経費として計上することは許されない。したがって、原告の昭和四三年度における特別経費として計上すべき支払利子割引料は金三万六、七五八円である。

ホ 支払リベート 金二万六、六六〇円

原告の昭和四三年度における特別経費としての支払リベートが金二万六、六六〇円であることは当事者間に争いがない。

ヘ 雑損 金三万六、三六五円

原告の昭和四三年度における特別経費としての雑損が金三万六、三六五円であることは当事者間に争いがない。

9  事業専従者控除額(金一五万円)

原告の昭和四三年度における事業専従者控除額が金一五万円であることは当事者間に争いがない。

10  営業所得金額(金三三九万四、八六一円)

雑収入を加えた金額(金九七九万五、六一二円)から特別経費計(金六二五万〇、七五一円)と事業専従者控除額(金一五万円)を控除した金額である(7-8-9)

(二)  配当所得について

原告の昭和四三年度における配当所得が金一六万四、八〇〇円であることは当事者間に争いがない。以上認定のとおり、原告の昭和四三年度における所得金額は、営業所得(金三三九万四、八六一円)、配当所得(金一六万四、八〇〇円)合計金三五五万九、六六一円であるから、被告が原告の昭和四三年度における所得金額を金三〇四万一、八六一円(裁決により一部取り消された後の額)と認定した更正処分および過少申告加算税の賦課決定は、正当であって、違法不当のかどはないというべきである。

三  昭和四四年度分における原告の所得金額について

(一)  営業所得について

1  売上金額(金四、六八六万四、三三一円)

原告の昭和四四年度分における売上金額についても、前記二、(一)、1において説示したと同一の理由により、これを推計すると、次のとおり金四、六八六万四、三三一円となる。

イ 昭和四四年度分売上原価額 金三、四七三万一、一五六円(後記2のとおり当事者間に争いがない。)

ロ 差益率 二五・八九%(昭和四二年度分差益金額÷昭和四二年度分売上金額)

ハ 昭和四四年度分売上金額 金四、六八六万四、三三一円

〔イ÷(一〇〇-二五・八九%)〕

2  売上原価額(金三、四七三万一、一五六円)

原告の昭和四四年度における売上原価額が金三、四七三万一、一五六円であること、およびその内容が被告主張のとおりであることはいずれも当事者間に争いがない。

3  差益金額(金一、二一三万三、一七五円)

売上金額(金四、六八六万四、三三一円)から売上原価額(金三、四七三万一、一五六円)を控除した金額である (1-2)。

4  一般経費計(金二一九万六、八七四円)

イ 公租公課 金四二万二、三九五円

前記甲第一号証、乙第三号証の一、二によれば、原告は本件審査請求において、原告の昭和四四年度における公租公課は金四三万一、六七五円であると主張し、このうち金九、二八〇円は原告所有の西宮の土地に対する固定資産税であることが認められるが、前記一、(一)、4において説示したと同一の理由により、西宮の土地に対する固定資産税金九、二八〇円は必要経費として計上することは許されない。したがって、原告の昭和四四年度における必要経費として計上すべき公租公課は金四二万二、三九五円である。

ロ 水道光熱費 金四万八、二一五円

ハ 旅費通信費 金一七万六、二二五円

ニ 広告宣伝費 金一九万五、三〇〇円

ホ 接待交際費 金二三万九、一四八円

ヘ 火災保険料 金七万三、五一四円

ト 修繕費 金二五万五、一〇一円

チ 消耗品費 金三八万三、二三六円

リ 福利厚生費 金一六万五、四九一円

ヌ 減価償却費(建物以外) 金二三万八、二四九円

以上ロないしヌの各費目の各金額はいずれも当事者間に争いがない。

5  差引金額(金九九三万六、三〇一円)

差益金額(金一、二一三万三、一七五円)から一般経費計(金二一九万六、八七四円)を控除した金額である(3-4)

6  雑収入(金一五九万七、三三〇円)

原告の昭和四四年度における雑収入が金一五九万七、三三〇円であることは当事者間に争いがない。

7  雑収入を加えた金額(金一、一五三万三、六三一円)

差引金額(金九九三万六、三〇一円)に雑収入(金一五九万七、三三〇円)を加えた金額である(5+6)。

8  特別経費計(金八三六万六、四〇三円)

イ 雇人費 金八一四万〇、三三五円

ロ 減価償却費(建物) 金二万七、五四〇円

ハ 地代家賃 金一〇万六、六五〇円

ニ 支払利子割引料 金七万七、三七八円

ホ 支払リベート 金一万四、五〇〇円

右イないしホの各費目の各金額(合計金八三六万六、四〇三円)はいずれも当事者間に争いがない。

9  営業所得金額(金三一六万七、二二八円)

雑収入を加えた金額(金一、一五三万三、六三一円)から特別経費計(金八三六万六、四〇三円)を控除した金額である (7-8)。

(二)  配当所得について

原告の昭和四四年度における配当所得が金二四万七、二〇〇円であることは当事者間に争いがない。

(三)  不動産所得について

原告の昭和四四年度における不動産所得が金六、二〇〇円であることは当事者間に争いがない。

以上認定のとおり、原告の昭和四四年度における所得金額は、営業所得(金三一六万七、二二八円)、配当所得(金二四万七、二〇〇円)、不動産所得(金六、二〇〇円)合計金三四二万〇、六二八円であるから、被告が原告の昭和四四年度における所得金額を金三一四万六、五一四円(裁決により一部取り消された後の額)を認定した更正処分および過少申告加算税の賦課決定は正当であって、違法、不当のかどはないというべきである。

よって、昭和四二年度、昭和四三年度および昭和四四年度の各更正処分および各過少申告加算税の賦課決定の取消しを求める原告の各請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 阪井昱朗 裁判官 大和陽一郎 裁判官 上原理子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例